株式投資のための企業分析
主に決算内容を元に「貸借対照表」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」の分析結果をご紹介
今回の銘柄は「日本オラクル(4716)」です。
事業内容
■クラウド&ライセンス事業
企業等のIT基盤に利用される、データベース管理ソフトウェア、各種ミドルウェア、ERP等の業務アプリケーションソフトウェア・ライセンスを販売する「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」とライセンスを利用されているお客様に更新版等のアップデートや技術サポートを提供する「ライセンスサポート」、これらのソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービス提供する「クラウドサービス」から構成。
■ハードウェア・システムズ
サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェア・システムズ・プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェアの更新版等の提供を行う「ハードウェア・システムズ・サポート」から構成。
■サービス
当社製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやお客様のIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」、技術者や利用者向けの研修事業や技術資格の認定事業を提供する「エデュケーションサービス」から構成
トピックス
■5年に1度の特別配当
修正の内容
21年配当が149円→1,146円(約7.7倍)に増配!!
一体何があったんだ!?って思いますよね。
会社発表の増配理由は至って普通の「株主への利益還元を基本方針としているため」とされている。が、日本オラクルは5年に1度特別配当で増配してくるのが通例となっており、5年前の2016年(105円→525円)、そのさらに5年前の2011年(93円→390円)となっている。
そのため、今回も予め予想はされていた増配となる。
しかし、この後業績面についても触れるが、今回の決算(21年通期)内容があまり良くなかった中での増配となったため、市場としてはマイナス要因の一つとして捉えられてしまった可能性がある。
株価(チャート:週足_2年表示)
[2021.07.16] 株価8,010円
【日足_半年表示】
(白の縦線が2021年6月25日)決算発表の24日の翌日25日に約1,500円程暴落し、8,700円まで下落した結果となった。
下図の週足チャートみて頂ければ分かるが、下落トレンドの中での更なる下落という形になり、逆張りで決算でのトレンド変換を期待していたホルダーにとっては希望を打ち砕く暴落となってしまった。
【週足_2年表示】
この様な下落トレンド中での逆張りの危険性を改めて認識した次第である。
(週足_2年チャート)長期移動平均線(青)を完全に下抜けしており、次に意識されるラインとしては、紫ラインのサポート6,730円の下髭ラインか、実線の7,150円円付近になるだろう。もちろん、そのサポートラインが意識されその少し前に反発が入ってくる可能性は十分考えられるが、もし6,730円付近まで下落してきた場合は、強い反発(買い)が来ることが考えられる。
個人的にも、もしこのラインまで下落してきたなら買い目線に切り替えてチャンスを伺いたいところ。
株価指標
※株価8,010円、21年4Q決算値で想定
PER:20.9倍
PBR:4.7倍
配当利回り:14.3%(特別配当)
ROE:22.4%
一人当たりの売上:86.3M円
PER20.9倍はかなり低くなってきている感じですね。仮に次のサポートライン6,730円の場合はPERは17.5倍になる。流石に買うなw
この様に既にPERは割安と言っていい水準には達しており、ROEや一人当たりの売上金額もかなり高い数値のため、問題のない様に見えるが売上面でやはり気になる点があるため、損益内容記載箇所で説明する。
決算内容
貸借対照表
(百万円) | 資産 | 負債 | |
固定資産 | 252,960 | 219,999 | 純資産 |
流動資産 | 81,038 | 0 | 固定負債 |
113,999 | 流動負債 | ||
自己資本比率 | 65.9% | 流動比率 | 71% |
自己資本比率65.9%と高いものの、流動比率71%であり、100%を下回っている状況である。この流動比率が100%を下回っている点については注意が必要である。100%を下回るということは、流動資産より流動負債の方が上回っていることを意味しており、通常は売上債券の回収期間を短くしたり、支払い期間を伸ばしたりして決済条件の見直しを行う必要が出てくる。
しかしながら、日本オラクルの事業モデルを考えると売上の約8割がクラウド&ライセンス事業であり、安定した売上収益が見込めるため一時的な流動比率の悪化を騒ぎ立てる程ではないと判断している。しかし、当然だが、良いか・悪いかで言えば悪い方になるため決して好まれるものではない。
損益計算書
(百万円) | 20.5月期 4Q |
21.5月期 4Q |
進捗率 | 21.5月期 通期予想 |
22.5月期 通期予想 |
売上高 | 211,357 | 208,523 | 96% | 217,700 | 216,900 |
営業 利益 |
68,865 | 70,904 | – | – | – |
経常 利益 |
68,857 | 70,904 | – | – | – |
純利益 | 47,686 | 49,175 | – | – | – |
営業 利益率 |
32.6% | 34.0% | – | – | |
経常 利益率 |
32.6% | 34.0% | – | – | |
純利益率 | 22.6% | 23.6% | – | – |
ポイントを絞ると、利益率はかなり高いものの売上の伸びが止まっている事が問題である。20年、21年、22年(予想)を比較すると売上はほぼ伸びておらず、今回の株価暴落原因として22年の通期予想が伸びてこない点が市場から厳しい評価を受けた原因だろう。
キャッシュフロー計算書
(百万円) | 2020.5月期4Q | 2021.5月期4Q |
営業CF | 42,309 | 65,148 |
投資CF | -30,584 | -50,118 |
財務CF | -17,097 | -21,115 |
FCF | 11,725 | 15,030 |
営業CFは42,309M→65,148Mに伸びてきており、十分に本業による稼ぎがあることがわかる。21年の投資CFが少し多い気もするが、FCFもプラスであることから問題はないだろう。財務CFは特に変化なし。
ふぁむふぁむ株式投資YouTubeチャンネル
決算内容を踏まえYouTubeチャンネルにて、解説しているしているので是非ご覧ください。
投資は自己責任でお願いします。
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