株式投資のための企業分析
主に決算内容を元に「貸借対照表」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」の分析結果をご紹介
今回の銘柄は「インフォコム(4348)」です。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が5月31日付で同社株式へのカバレッジを開始。投資判断を「オーバーウエイト」とし、目標株価を6,700円に設定したとニュースが報じられた。目標株価が時価水準の2倍以上になる点には受け止め方が分かれるようだが、市場へのインパクトは大きかった。
事業内容
医療・企業・公共機関向けにシステム構築やパッケージ製品を提供するITサービスと、一般消費者向けに電子コミック配信サービス等を提供するネットビジネスを展開。また、新規事業創出を見据えた取り組み、AI/IoTをはじめとする新規技術の研究を実施。
■ITサービス・セグメント
ヘルスケア事業の病院向けは当第2四半期連結累計期間において、前期特需(改元・消費税増税対応)の反動減とコロナ禍による影響を受けたが、当連結会計年度末に向けて業績が回復しました。また、企業向けITサービスは営業活動の工夫等により、前年並みの業績。
■ネットビジネス・セグメント
電子コミック配信サービスは、「めちゃコミック」でのデータ分析をベースとした各施策(無料連載・独占先行配信・オリジナルコミック等)が奏功し、更に外出自粛による需要増も加わり、好調に推移。
株価(チャート:日足_半年表示)
[2021.06.11] 株価3,095円
インフォコムは2002年に上場し緩やかに長い間上昇してきたが、2020年10月の4,455円を天井として最近は下落してきており、まさに三菱UFJモルガン・スタンレー証券のカバレッジ開始ニュースが5月31日に発表されるまで下落を続けていた状況である。
以前、三菱UFJモルガン・スタンレー証券がインフォコムに大量の空売りを仕掛けていたにもかかわらず、今回は目標株価を6,700円と発表。。。んん〜、このニュースはこの辺りで触れるのはやめておきましょう。
移動平均線を見てみると、2021年1月27日に短期が長期を下抜けしデットクロスを形成している。そこから短期的には下落を続けており、5月31日の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の発表直前には安値更新し始めていたが、ニュース発表により反発した。この反発により短期が中期を上抜けしたが、長期は横ばいを示していることから、上昇トレンドに転換したとまではまだ言えない。もみ合い相場の中での短期的な上昇とも見ることができるため注意が必要。
MACDは上昇トレンドの中にあるが、短期が中期をもう少ししたら下抜けしデットクロスを形成しそうな形に見える。
RCIは中期が高値圏(買われ過ぎ)のラインにあることから、株価上昇続けるにしても一旦ガス抜き(株価下落)が入る可能性がある。
株価指標
※21年通期実績数値で計算
PER:28倍
PBR:4倍
配当利回り:1.2%(37円)
ROE:15%
一人当たりの売上:57M円
三菱UFJモルガン・スタンレー証券のニュースで株価反発を見せているが、それでもPER28倍と考えるとまだ割安圏内に感じる株価ではある。
ROE・一人当たりの売上も高くぱっと見はいい数値に見える。
決算内容
貸借対照表
(百万円) | 資産 | 負債 | |
固定資産 | 12,471 | 41,839 | 純資産 |
流動資産 | 43,964 | 355 | 固定負債 |
14,241 | 流動負債 | ||
自己資本比率 | 74.1% | 流動比率 | 309% |
自己資本比率74.1%、流動比率309%とかなり高く、前年度と比較してもあまり変化なく貸借としては問題ないように見受けられる。
損益計算書
(百万円) | 2020.3月期 4Q |
2021.3月期 4Q |
進捗率 | 2021.3月期 通期予想 |
2022.3月期 通期予想 |
売上高 | 58,375 | 68,055 | 97% | 70,500 | 77,000 |
営業 利益 |
8,211 | 10,812 | 103% | 10,500 | 11,000 |
経常 利益 |
8,268 | 10,936 | 104% | 10,500 | 11,000 |
純利益 | 5,543 | 6,276 | 94% | 6,700 | 7,300 |
営業 利益率 |
14.1% | 15.9% | 14.9% | 14.3% | |
経常 利益率 |
14.2% | 16.1% | 14.9% | 14.3% | |
純利益率 | 9.5% | 9.2% | 9.5% | 9.5% |
20年と21年の業績を比較すると売上は1.17倍で、いい伸びとまではいかないが、コロナ禍において無難に伸ばしてきており、電子コミックの分野が伸びてきていることが業績を支えている。利益率においても営業利益率は15%を超えており、純利益も10%のライン近くまできており、株価が下落してきている割には業績面は安定している様に見える。
21年通期予想に対しての実績を確認すると、売上と純利益が少し未達ではあるもののおおよそ予想通りと言うところか。
そして重要な22年の通期予想については、未だに通期予想をコロナの関係で発表してこない会社も多々ある中で、通期予想の数値を発表してきたことを評価するべきか。その上で、数字を見てみると売上の伸びは、21年実績と22年予想比較で1.13倍、利益面は純利益が少し伸びるもののあまり変わらない予想となっていることから、硬い予想を出してきているのは分かるが物足りないと感じてしまう。
電子コミックが伸びてきているものの、海賊版サイトが懸念であることから抑え目の通期予想との発表であった。
キャッシュフロー計算書
(百万円) | 2020.3月期4Q | 2021.3月期4Q |
営業CF | 7,355 | 9,871 |
投資CF | -2,472 | -1,643 |
財務CF | -1,546 | -1,761 |
FCF | 4,883 | 8,228 |
営業CFは7,355M→9,871Mに増加しており、十分に伸びてきているため問題のないCFである。
投資CFはソフトウェア等無形固定資産の取得による支出767M及び、本社移転等に伴う差入保証金の差入による支出478M等によるもので、額面としては昨年よりやや減少しているが問題ないと判断している。
財務CFは昨年と大きな変化はなく、主に配当支払いによるものとなっている。
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決算内容を踏まえYouTubeチャンネルにて、解説しているしているので是非ご覧ください。
投資は自己責任でお願いします。
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